「科学的な適職」のマトリックス分析で自社開発・受託・SESを比較

  • 2020/04/27
  • IT
IT 科学的なエンジニア転職

以前SES企業で働いていた僕が、鈴木祐さんの著書「科学的な適職」を読んでみて、その中で幸福な仕事を探すための意思決定ツールとして紹介されている「マトリックス分析」を実践してみました!

「科学的な適職」とは?

まず、「科学的な適職」がどんな本かというと、筆者の鈴木祐さんが10万本の科学論文と、600人を超える海外の学者や専門医に行ったインタビューを元に、「あなたの幸福が最大化される仕事」を探す方法を教えてくれるような本になっています。

今までの転職本は、正直、自分の経験を元にした主観が多く含まれているものや、ポジショントークによるものが多かったと思います。「科学的な適職」は客観性に基づいて書かれているので、仕事選びに悩んでいる人は是非とも読んでみることをおすすめします。

「科学的な適職」のマトリックス分析とは?

「科学的な適職」によると、仕事の幸福度は以下の「7つの徳目」によって決定されるそうです。

  1. 自由:その仕事に裁量権はあるか?
  2. 達成:前に進んでいる感覚は得られるか?
  3. 焦点:自分のモチベーションタイプに合っているか?
  4. 明確:なすべきことやビジョン、評価軸はハッキリしているか?
  5. 多様:作業の内容にバリエーションはあるか?
  6. 仲間:組織内に助けてくれる友人はいるか?
  7. 貢献:どれだけ世の中の役に立つか?

そして、「科学的な適職」では、幸福な仕事を選択するための分析方法のうちの一つとして、「マトリックス分析」を使用して意思決定を行うことが紹介されています。ちなみにマトリックス分析は米軍の意思決定にも使われているそうな。

横軸に選択肢を並べ、縦軸に評価軸を並べていき、それぞれの選択肢をそれそれの評価軸で順に評価していきます。

評価軸の重要度を5点満点で記入していくことで、合計点が高い選択肢が科学的に「幸福な仕事」となるわけですね。

マトリックス分析は、特に複数の選択肢からベストを選ぶような意思決定に適しています。僕がまさに今、複数の職業の選択肢があり、転職に迷っているところだったので、実践してみることにしました。

自社開発、受託開発、SESとは?

まずは僕がどういう職業の選択肢で迷っているかを紹介したいと思います。

僕は新卒からずっとIT業界で働いているのですが、IT業界における企業の形態はざっくり分けると以下の3つが挙げられます。

  1. 自社開発
  2. 受託開発
  3. SES

①の自社開発というのは、自社のサービスや製品でお金を儲けている企業のことを指しています。

②の受託開発というのは、他社から依頼を受け、システムを開発してお金を儲けている企業のことを指しています。

③のSESというのは、②の企業から発注を受け、労働力を提供してお金を儲けている企業のことを指しています。ざっくり言うと2次請け以降の企業のことです。

要はIT業界に属する企業を、「どうやってお金を儲けているか」に着目して分類したというわけですね。

僕は、この3つの企業形態のうちどの企業のエンジニア職となるべきかで迷っています。

ちなみに、僕は以前SES企業で働いていたため③に関しては身をもって評価ができるのですが、①や②は直接の経験がないため、あくまでも伝聞やネットの情報を元にした推測で評価をしていきます。

「科学的な適職」のマトリックス分析を実践してみた

僕が実際に「科学的な適職」のマトリックス分析を実践してみた結果は以下の通りです。

基準 自社開発 受託開発 SES
①自由 5 3 1
②達成 5 4 1
③焦点 5 3 1
④明確 2 4 1
⑤多様 5 3 2
⑥仲間 4 4 2
⑦貢献 5 3 1
合計 31 24 9

もちろんそれぞれの企業の形態の中でも会社ごとにカラーが違ったり、会社の規模によっても異なるとは思いますが、あくまで僕の認識によるとこういう結果となりました。

一般的には転職難易度としては「自社開発 > 受託開発 > SES」であると良く言われていますが、僕にとっての幸福な仕事の序列も同様だということが分かりました。

一つ一つの基準に対し、僕がどのように評価していったかを深掘りして説明していきます。

①自由:その仕事に裁量権はあるか?

自社開発:5
受託開発:3
SES:1

自社開発企業はこの中で一番裁量を持って仕事をできるのではないでしょうか。システム開発上のクライアントがいないため、仕様技術や働く時間・場所などを自由に選べるイメージがあります。そしてITを用いて事業を行う会社であるため、ビジネスの企画・提案の機会もあるのではないでしょうか。

受託開発企業はどうしても自社開発企業よりは自由度は低いのではないかと思います。例えばビジネスにおける決定権はクライアントにありますし、納期や予算もあります。クライアントとの会議などがあるので、好きな時に休むことが難しいかもしれません。どうしてもクライアントに縛られてしまいますね。

その点、SESは最悪で、巷でよく言われる「案件ガチャ」から始まり、客先常駐で働く環境・時間も固定され、派遣契約であればクライアントの指示下でしか動くことはできません。しかも大抵はプロジェクトの中のごく一部の工程しか任されないことが多いです。例えばコーディングのみとか、テストのみとかの場合もあります。

②達成:前に進んでいる感覚は得られるか?

自社開発:5
受託開発:4
SES:1

自社開発企業に関しては、自分のエンジニアリングの結果、実際にビジネスのKPIなどの数字に表れることで達成感が得られるのではないかと思って5を付けましたが、さすがに自社開発企業に夢を見すぎでしょうかね。

受託開発企業に関しては、自分の会社の上司がちゃんと働きを見てくれて、適切なフィードバックをくれるのではないかと思っています。

SESはもう同じ現場に自分の会社の上司がいないなんてこともあるので、仕事のフィードバック?何それおいしいの?状態でした。そんなのモチベーション上がるわけないですよね。

③焦点:自分のモチベーションタイプに合っているか?

自社開発:5
受託開発:3
SES:1

焦点の観点では、自分のパーソナリティがポジティブな「攻撃型」とネガティブな「防御型」の2タイプのうちのどちらの傾向を持っているかを判断し、そのパーソナリティと仕事とが合っているかどうかを評価します。

「攻撃型」はコンサルタント、アーティスト、テクノロジー系、ソーシャルメディア系、コピーライターなどに向いており、「防御型」は事務員、技術者、経理係、データアナリスト、弁護士などに向いているそうです。

僕は自分自身がなんとなく「攻撃型」の側面が大きいのではないかと感じており、それぞれの企業形態が攻撃型に合っているかどうかで判断しました。

自社開発企業はエンジニアといってもただの「作業員」といった感じではなく、ビジネスを良くしていく観点を持つ必要もあるイメージなので攻撃型向きだと思っています。

受託開発企業でも、ITコンサルタント的なポジションであれば攻撃型向きだとは思いますが、今回はエンジニアなので真ん中の評価にしました。

SESは言われたことを正確にこなせるような防御型向きだと思っています。

④明確:なすべきことやビジョン、評価軸はハッキリしているか?

自社開発:2
受託開発:4
SES:1

自社開発企業はベンチャーが多いイメージなのでそれに引きずられてしまっているかもしれませんが、賃金の公平さはあまりないような認識を持っています。例えば新卒より中途で入ってきたエンジニアのほうが沢山賃金をもらっているなんて例もあるかもしれませんね。また、企業が発展途上である場合は上からの指示の一貫性なども無かったりするのでは。

その点、受託開発企業は中堅どころの企業が多いイメージがあるため、信賞必罰の社内制度が整っているんじゃないでしょうか。社内の組織体制もしっかりしているイメージもあります。

SESはそもそも自分の会社の価値観も分からないし、同期がどんな仕事をしているかも分からないし、今やっている作業がプロジェクトのどこに役立つのかわからないなんてザラだったりします。

⑤多様:作業の内容にバリエーションはあるか?

自社開発:5
受託開発:3
SES:2

自社開発企業はやっぱりベンチャー企業のイメージがあり、エンジニアといえど色々な仕事を任せてもらえる認識を持っています。逆に言えば色々な仕事を「やらなければならない」側面もありそうですけども。

受託開発企業はまぁSESよりは広範囲の仕事ができるのではないでしょうか。特に、管理・マネジメント系の仕事はSESではなかなかできないと思います。

SESはやはりプロジェクト内のごく一部の仕事しかできない点で多様ではないと思います。ただし、もし自分にスキルがあれば案件を選ぶことが可能なことがあるため2としてみました。でもやっぱりプロジェクトの上流から下流まで全てに関わるなんてことはSESでは難しいですね。

⑥仲間:組織内に助けてくれる友人はいるか?

自社開発:4
受託開発:4
SES:2

これに関しては企業ごとに違う部分なので何とも言えないかもしれませんが、SESに関しては客先常駐がほとんどで、人間関係はプロジェクトによるという点が仲間の点数が低い理由ですね。そして、プロジェクトが終わると人間関係がリセットされてしまうのがなかなか辛いところ。ただ、僕の入社したSES企業はたまたま同期や同じ部署に良い人が多かったため1点でなく2点としています。

ちなみに職場に3人以上の友達がいる人は、人生の満足度が96%も上がり、同時に自分の給料への満足度は2倍になるそうな。すごいですね。

⑦貢献:どれだけ世の中の役に立つか?

自社開発:5
受託開発:3
SES:1

自社開発企業はダイレクトにエンドユーザの反応を見ることができるため、貢献している意識を高めやすいのではないかと思っています。特にBtoCの企業であればより広範囲に影響を与えることができ、満足度が高まるかもしれませんね。例えばプライベートの友人に「君の会社の○○っていうサービス、毎日愛用しているよ!」なんて言われたりなんかしたら、その日はきっとスキップしながら帰ることになるでしょう。

一方、受託開発企業はどうしてもエンドユーザとのやり取りは少なくなりがちで、プロジェクトが終われば「はい次のプロジェクトね。」みたいな感じで自分が貢献している意識が薄くなりがちなのでは。

SESのエンジニアはそれこそ一番エンドユーザから距離のある存在なので、「その仕事が他人の生活に影響を与えられたか?」の実感なんて皆無でした。

終わりに

今回「科学的な適職」のマトリックス分析で自社開発・受託開発・SESの3つの企業形態のエンジニアを比較してみましたが、結果は「自社開発 > 受託開発 > SES」となりました。

なので、幸福な仕事を選ぶためにまずは自社開発企業や受託開発企業への転職を目指してみようと思っています。僕はSES企業で、幸いにもスキルの付くような上流から下流までの新規開発をさせてもらっていたため、その経験を生かして転職活動を頑張っていきたいです。

上にも書きましたが、このマトリックス分析の結果はあくまでも僕個人の主観による結果であり、それぞれ個々の企業には当てはまらない場合がありますので参考にされる際はご注意ください。